こんにちは。
明けましておめでとうございます。
さて、2019年の最初の記事になりますが、
以前にも予告していた、「ユタ州と宗教」について
実際に私がユタに留学して感じていることをまとめたいと思います。
このブログは主に「ユタ州」に留学を考えている人を応援していますが、
「ユタ州」と切り離せない話題が、ユタの「宗教」、いわゆる「モルモン教」です。
ブログの読者さまからも、たまにこの「宗教」についてお問い合わせをいただきます。
ユタで生活していると、たくさんのモルモン教の友人ができ、教会の活動に参加する機会も多々あります。
なので、今回は留学を考えている人が十分な情報を得て安心できるように、
私が体験したことをできるだけ全部まとめておきたいと思います!!(^^)/
Contents
ユタ州の歴史
ユタ州は、約7割の人がモルモン教、正式名称『末日聖徒イエス・キリスト教会』の会員です。
英語では、「The Church of Jesus Christ of Latter‐Day Saints」といい、略してLDSと言われることもあります。
名前から分かる通り、モルモンは「キリスト教」の1つの宗派です。
ユタの土地を開拓し、州にまで発展させたのがモルモンの会員の人たちなので、
今でも多くの教会員と教会堂、教会にまつわる施設があります。
↑モルモン教会のソルトレーク神殿
まず、どうやってユタ州が誕生したのか、簡単な歴史から調べてみました。
末日聖徒イエス・キリスト教会は1830年4月6日, ニューヨーク州フェイエットで組織されました。
教会が発展するにつれて, 新たな改宗者たちはオハイオ州やミズーリ州に集まりました。
オハイオ州カートランドの末日聖徒たちが迫害を経験している間, ミズーリ州の末日聖徒たちは怒った暴徒により町から町へ次々に追い立てられていました。
1839年にミズーリから追われた教会員たちはイリノイ州に集まり, ミシシッピー川沿いの湿地に豊かな共同体を築きました。
しかし7年も経たないうちに, 再び家を追われることになりました。
ブリガム・ヤングに率いられたこれらの開拓者たちは, 西へ向かって約2,000キロの旅をしてソルトレーク盆地にたどり着きました。
えーっと、もう少し付け足すと、
モルモン教は1800年代にアメリカで組織された。
その中心人物は「ジョセフ・スミス」。
彼はキリスト教の宗派がそれぞれ違う主張をしていることを不思議に思い、
ある日森で「真実の教会はどれなのか」神に祈った。
すると実際に神とイエス・キリストが彼の前に現れ、
どの教会も完全に正しくないので、正しいキリストの教会を作るように言われた。
そうやって発足されたのが、『末日聖徒イエス・キリスト教会』。
(今は聖書の予言にある「末日の時」なので、「末日にもう一度できたイエス・キリストの教会」の意味)
ジョセフ・スミスが神とイエス・キリストという「2人」に会ったので、
この教会ではいわゆる「三位一体(神とイエスと聖霊は一体)」ではなく、「三位三体(それぞれが別個の存在)」であると信じている。
こういった普通のキリスト教とは違ったことを信じていることもあり、
アメリカの中でも大変迫害され、移動に移動を繰り返して信者たちが行き着いたのが、現在の「ユタ州」。
ちなみに、ジョセフ・スミスはその迫害の中で殺されてしまったので、
ユタに入植した時に教会を率いていたのは「ブリガム・ヤング」。
BYU(ブリガム・ヤング大学)はこの人の名前から来ているわけです。
もう少し学んでみたい人のために、公式ページをいくつか貼っておきます。
モルモン教はキリスト教?
たまに、モルモンは異端の宗教で、キリスト教ではない…などと見たり聞いたりしますが、
モルモンはキリスト教だと思います。
「キリスト教」の定義が何なのかよく分かりませんが、
キリスト教=イエス・キリストを信じている宗教
なのだとしたら、モルモンは確実にキリスト教です。
会員の人たちはイエス・キリストを模範にしており、「聖書」をよく勉強しています。
毎週日曜日に教会に行き、イエス・キリストを礼拝しています。
学校でお祈りすることがありますが、お祈りでも「イエス・キリストの名前によって~アーメン」と言っています。
クリスマスも「イエス・キリストの生誕を祝う日」として大切にしています。
なぜ「モルモン」というニックネームがついたのか
ではなぜ、「モルモン」と呼ばれているのでしょうか?
それは、彼らが聖書の他に、「モルモン書(英名:The Book of Mormon)」というもう一つの聖典を信じて勉強しているからです。
教会員のクラスメイトに教会のことを聞くと、この「モルモン書」について話してくれると思います。
この聖典は、先述のジョセフ・スミスが天使の導きを受けて古代の歴史書を発見し、翻訳したものです。
アメリカ大陸が西洋人に発見される前にここには大きな文明があり、その歴史が綴られた古い版を彼が見つけ、神の力を受けて英語にしたものだそうで、
聖書と同じように人々が神から導きを受けたり、イエス・キリストが実際に教えたりしたことが書かれています。
その文明は結局滅びてしまいますが、その生き残りとされているのがアメリカ大陸の「インディアン」なのだとか。
宗教に興味がなくても、歴史書として興味深い本です。
この辺が他のキリスト教にないことなので、「異端」と言われるのかもしれませんね。
モルモン教の信条
モルモンには色々なユニークな教えがありますが、
その中でも比較的知られているのが、「酒・たばこ・コーヒー」を口にしないということではないでしょうか。
様々な説を耳にしたことがありますが、私が留学していて体験した(見た)「モルモン教の教え」をまとめてみます。
知恵の言葉
↑これが「酒・たばこ・コーヒー」を口にしないという戒めの正式名称です。
これに尾ひれがついて、「モルモンの人は刺激物を一切食べない」とか、「肉を食べない」「薬を使わない」とかいろいろ言われていますが、
彼らが口にしないのは
・お酒(アルコール類)
・たばこ
・麻薬
・コーヒー
・茶葉が使われているお茶(麦茶やハーブティーはOK)
だけです。
ジュースやミルクは普通に飲むし、肉も食べるし、辛い物も食べます。
病気になれば、薬を使うし輸血もします。
この教えは本来、「健康に良いバランスの取れた食生活をする」というもので、
何となく「依存性のあるものを避けている」のかな~と思います。
別に信者でない人がユタにいても、これを守る必要はありません。(BYUに行くなら、校則で酒とたばこはダメだったはず)
コーヒーやお酒も普通に売られています。
日曜日は教会に行く
これも特に信者でなければ強要されませんが、
教会員の人はみんな日曜日になると正装して教会に礼拝に行きます。
なので、プロボでは日曜日はお休みのお店が多いです。(スーパーなどは開いています)
一日に何度も祈る
ELCでも、授業の前にお祈りで始めたりするくらい、いろんな場所でお祈りします。
内容は、みんなと楽しく勉強できるようにとか、たわいもないことが多いです。
食事の前にも祝福のお祈りをします。
什分の一
宗教で一番怖いのが、お金をだまし取られることですよね…(-_-;)
モルモンにも、「教会にお金を払う教え」があり、とっても怪しいなって思ってましたw
正確には、「収入の十分の一を教会に収める」というものです。
つまり、学生で収入がないなら、払わなくてOK。
たくさん稼いでいるなら、たくさん払う。
でも実際の使用目的を調べてみると、教会堂を建てたり、神殿を建てたり、教会のテキストを作ったり、教会の光熱費だったり、
「教会の運営費用」になっているとのこと。
確かに、教会維持するのだってタダじゃないよね…(;'∀')
さらにこの教えはモルモンだけのものではなく、聖書のマラキ書にある戒めなので、他のキリスト教にも当てはまる教えのようです。
これも、信者でなければ関係のない話です。
純潔の律法
「モルモンは、性行為が禁止されている」なんて聞いたこともありますが、
正しい教えは、「婚前交渉の禁止」です。
子作りは結婚したあとで…ということのようです(^^)
皆さん、清く正しいお付き合いをされています。(キスはOKのようです)
そういうこともあってか、BYUでは男女が同じ建物に住むことができなくなっています。(結婚後はもちろんOK)
「女性は肌を出さない」とかもどっかで見ましたが、(ムスリムか!)
公共の場で過度の露出は控えるというくらいのもので、服装は自由です。
家族を大切にする
モルモンの人たちは、
「家族は神から与えられたものであること」
「家族はこの世で一番大切な単位であること」
「家族の関係は死後も続き、永遠である(死んだ後も家族にまた会える)こと」
を信じています。仲の良い家族が多いです。
なので、結婚も推奨されており、ユタの学生は若いのにバンバン結婚していきます。
子供を連れて授業に出ている人も珍しくありません。
一夫一妻制です。
日曜日は家族みんなで教会に行き、月曜日の夜は家族で過ごす時間のようです。
伝道(布教)活動
日本でも、道端でこういう2人組を見たことがあるのではないでしょうか?
モルモンは布教活動にも力を入れていて、
18歳~26歳くらいの男女が宣教師として「伝道(Mission)」と呼ばれる布教活動に出ていきます。
自分で志願したら行くことができますが、完全自費制のようです。
どこの国に行くことになるのかは自分で決められず、まったく知らない言語を一から学ぶことも。。
BYUの学生は大学を休学してこの伝道に行く人が多いので、
急に友達が学校からいなくなったりします(;'∀')
※ちなみにソルトレークシティの中心、テンプルスクエアに行けば、自分の言語を話す宣教師から、教会を紹介するツアーを受けることができます。
モルモン教の人々
さっきの続きのようですが、
モルモンの人は、キリストの教えた「隣人愛」を守るように教えられており、
人に優しく、助け合う、という文化があります。
なので、基本的にみんな優しく、いい人です。(もちろん、人によりますが)
確かに、教会の教えを信じる気持ちが強すぎて意見を押し付けてくるような人もたまーーにいますが、
私は1年ユタの語学学校に通って、クラスの8割くらいはモルモンの人でしたが、みんな普通の良い人たちでした。
「モルモンじゃない人は差別する」みたいな人はみたことがありません。
留学していて思うのは、「この国の人だからこう」とか「この宗教を信じているからこう」というよりは、
どこに行っても良い人と悪い人、合う人と合わない人がいて、みんな同じ人間なんだなってことです。
アメリカではそれぞれの人がそれぞれの宗教を持っているのは当たり前のことで、
ELCのクラスメイトたちの中でも、自分の宗教について教え合っている光景を目にしたことがあります。
日本人こそ「宗教」を差別して怖がり過ぎてる気がします。
勧誘について
ユタに留学を考えている人はこれが一番心配なのではないかと思います。
「宗教に勧誘されるのではないか」。
これに関しては、心配ないので安心してください。
モルモンの教えには、「それぞれの人が信じることを尊重する」というようなものがあり、
絶対に無理やり勧誘してくるようなことはありません。
(※プロボでの私の経験上の話です。他の地域のことは言及できません。)
確かに、クラスの中で教会の教えについて少し話したり、
クラスメイトから教会の活動に誘われたりということはありますが、
自分の気持ちを優先してくれます。
何人か、留学中にモルモン教に改宗した人を見ましたが、みんな自分で興味を持って勉強していました。
決して強い勧誘で怖い思いをすることはないと思います。
学校と宗教
BYUは先述の通り、ブリガム・ヤング(教会の初期の指導者)が創った学校なので、
多少宗教色が出ている大学です。
実際に大学の学生になると、基礎学年で「宗教クラス」の履修が必須だったり、
大学にも教会の教えからきているユニークなルールがいくつかあります。
でももちろんモルモンでない学生もたくさんいますし、個人の宗教が尊重されています。
私の印象は、「他の学校よりも少しルールが厳しめだけど、健全で過ごしやすい学校」です。
※見ての通り、スクールカラーはブルーですw
このあたりの話は、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。
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うわさと真実
留学するにあたって、私もユタのことをたくさん調べました。
インターネットでは、色んなことを言っている人がいて、情報がバラバラで困りましたし、不安になりました。
実際にユタに来てみて思うことは、
「モルモン教という名の変な宗教団体に属する怪しい人たち」(←勝手なイメージw)
は存在しません。
考え方の違う色々な人が住んでいる、普通の場所です。
特に、プロボは治安も良く(アメリカ的には)、過ごしやすい街です。(ソルトレークシティはちょっと治安悪いです。。)
冬は死ぬほど寒いとか言われましたが、日本にいても雪は降るし、寒いし、そんなに変わらないと思いました。
確かに…夏は痛いほど暑いですが…笑、乾燥しているので汗をかかなくて快適ですw
ユタは山と四季が美しい、良い留学先だと思います。個人の意見ですが。
今この記事を書くために色々調べていましたが、
ネット上には間違った情報やウソが結構堂々と掲載されているな~と感じています。
もちろん役に立つ情報もありますが、「え、全然違うけど!?」ってことも多々ありました。
私はユタに留学して、宗教がらみで問題が起こったことはないですし、ユタの人たちは至って普通の、他の人と変わらない人たちです。
結局、何事もそうですが、人はそれぞれ見方や感じ方も異なるので、
本当のところは自分で見て、その人たちと関わってみて、判断するしかないと思います。
これからユタに留学を考えている人は、ぜひ噂に惑わされず、安心して、純粋に「何を学びたいか」で学校を決めてほしいです!!
まとめ
いかがでしたか?
私なりに、全力で「ユタと宗教」について経験から情報をまとめてみました。
ここに書いてあること以外でも、「これはどうなんだろう?」と思うことがあれば、
私に直接聞いてもらっても結構です♪(TOPに問い合わせ用アドレスがあります)
留学して、宗教を含めた色んな文化があることを学び、視野を広げていきましょう(*^-^*)
どんな経験をしても、それはすべて自分を成長させるものになると思います!
ではでは~!!